君と我れ二つの別なく溶けあいて 妙滴清浄菩薩の快楽(けらく)
滴塵027
本文
君と我れ二つの別なく溶けあいて 妙滴清浄菩薩の快楽(けらく)
形式 #短歌
カテゴリ #6.情愛・人間関係
ラベル #恋愛 #親愛 #菩薩 #悟り #精神 #密教 #引用 #比喩
キーワード #融合 #菩薩 #快楽 #妙滴 #心象
要点
二人の境界がなくなる様子を菩薩の清浄な喜びに重ねる。
現代語訳
君と私、二つの存在の区別なく溶け合い、妙滴清浄なる菩薩のような喜びを得る。
注釈
二つの別なく溶けあいて:自己と他者、あるいは二元性(智慧と慈悲など)の区別がなくなること。合一。
妙滴清浄:二つのものが融合する清浄な喜び。密教経典の理趣経に説かれる。
快楽:究極の悟りによって得られる、精神的な至福(歓喜)。
解説
情愛と精神的悟りを同時に描写。個の境界を越えた清浄な喜びは、密教的な菩薩体験の比喩として読まれる。愛情と修行の融合を示す短歌である。
深掘り_嵯峨
滴塵008の密教的結合のテーマを、さらに具体的な境地として詠んだ歌です。「君と我れ」という二つの存在が完全に溶け合い、二元性が消滅した世界は、「妙滴清浄」の教えに見られるような、煩悩を離れた清らかな大いなる歓喜(快楽)をもたらします。
これは、密教の教えにおいて、男女の結合が宇宙的な真理(智慧と慈悲の合一)のメタファーとして捉えられ、即身成仏の境地を示すことと深く関連しています。